2004年 8月  フェスタ・デ・テンプル〜佐渡裕とお寺で音楽〜
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「フェスタでテンプル」 レポート           山手寿子


真夏の熱い太陽が降り注ぐ「京都・知恩院」「東京・増上寺」で、我等シエナウインドオーケストラが
そのお寺の歴史とともに新しい形での音楽会「フェスタでテンプル」を開催。

佐渡&シエナそしてお馴染みのジャズトランペット奏者の原朋直&ニューヨークカルテットによる
1日がかりのお寺での音楽祭り。特に小さなお子様を対象に音楽の素晴しさ、楽しさをシエナと一緒に
「参加型音楽会」で楽しんでしまおう!という演奏会。
お寺には「大殿」を中心に多くの御堂があり、そのあちらこちらでイベントが開催された。


オープニングは御堂で佐渡裕氏のダイナミックな導きの元、金管楽器による「オリンピック
ファンファーレ」。正にオリンピック年に相応しい華やかなスタートだった。
続いて原朋直&ニューヨークカルテットのオープニングでも「お寺とジャズ」といった斬新な組合せ
にも関わらず、実によく融合し境内に響き渡った。

そして各御堂では木管楽器のフルート・クラリネット・サキソフォーン、金管楽器はトランペット・
トロンボーン・ホルン、そして打楽器。計7つのパートの各ブースで楽器紹介が行われた。
子供達には色鮮やかなスタンプカードが配られ、"楽器ごとに説明を聞いたらスタンプを押してもらう"
というとても楽しい企画「スタンプラリー形式」で各ブースを回っていただいた。
私がクラリネットなのでそこでのお話しをしよう。

・・・裏話をすると・・
私達はオープニングの迫力と子供達の眼の輝きに心打たれテンションが上がってきた。
当初クラリネットは説明と共に楽器を吹く担当2人が決まっていた。
しかし始まる数分前に・・・
「子供達により身近で楽器に触れてもらうために、演奏者と別に楽器説明する者もいた方がいい!」
と盛り上がってきた。そしてこの私が急遽「クラリネット楽器説明係り」に変身!

「みなさ〜ん!クラリネットのお話が始まりますよーーー!集まってくださいー!!」
子供達は目を真ん丸くし集まってきた。いいえ!子供達だけではなくお父さんお母さんも興味深げに
こちらをジーッと見つめている。
「クラリネットは、グラナディラという木からできていて〜〜」
「リードは葦を薄く削り、それをマウスピースにつけ振動させて音を出す仕組み〜」
そしてこの日の為に編曲されたクラリネット2重奏曲「クラリネットを壊しちゃった」
「ムーンライトセレナーデ」を飯島氏、鮫島氏によるエネルギッシュな演奏でお届けした。
各パートともその楽器独自の魅力を最大限に披露した。そして、その音楽に合わせてリズムを取る方、
踊りだす子供達も多く見られた。
このように、興味津々のお客様を直ぐ目の前で感じられたことは、楽器紹介をする我々シエナ側も
とても楽しく、またその小さな単位での音楽伝達の大切さを改めて感じた。

 楽器紹介終了後、お客様は「ジャズスクエア」会場へと移動。原&NYQの演奏だ。
我々は残念ながら聴くことができなかったが、彼らの熱い演奏が繰り広げられたと聞いている。
このように、シエナ演奏会前にたくさんのイベントを行なった新しい形の音楽会、
我々は舞台上の演奏では味わえない多くを確かに感じ取った。


 いよいよシエナ本公演の始まりだ。
ここはお寺の本堂、我々はこの日のために作られた黒いTシャツに身を包み着席しその時を待つ・・・
「な〜むあ〜みだ〜ぶつ…南〜無阿〜弥陀〜仏…南〜無阿〜弥陀〜仏・・・・」
舞台両サイドから多くのお坊様がお経を唱え木魚をたたきながら出て来られる。
なんて透き通ったきれいな声の響きだろう!そして徐々に大きな響きとなって聴こえてくる。
そしてオーケストラはざっと30人ものお坊様で囲まれ、重厚な本堂を包み込むようにそのお経は続いた・・・
そこへ佐渡裕氏と原&NYQの登場。
佐渡氏がゆっくりテンポの「南無阿弥陀仏」のお経を3拍子で指揮取り、徐々にアッチェレランド!
3拍子を1拍と取れるテンポへと上げて行く。
そこへスーッと自然に入ってきたのがNYQであった。
そして原氏のソロ「私のお気に入り・My Favorite Things」へ。
この「南無阿弥陀仏」と「私のお気に入り」が3拍子の中で音楽を融合しあっているのだ。
そしてしばらくの後これにシエナの演奏が加わると同時に、お坊様方はまるで「守り神がその音楽伝達を
無事に見届けたかのよう」に両サイドからゆっくりと去っていかれた。
 我々も見守られた安心感と、そして初めてのお寺での舞台に程よい緊張感で演奏をスタートした。

今回の演奏会は、お子様のお客様には直径30センチほどの「丸い厚紙とスティック1セット」を配布し、
我々シエナと一緒に演奏に参加してもらおうというスタイルだ。
次の「聖者の行進」ではNYQのドラムのリズムを大太鼓、サスペンドシンバル、スネアドラムの3つの
パートにわけ、それぞれを子供達に担当してもらった。

客席の皆さんにも3パートに分かれてリズムを打ってもらった。
各パート子供と一緒にシエナ打楽器のサポートが入ったが、皆中々の打楽器奏者だった。
参加型演奏会会場も和んできた。

 リズムの説明として、4分音符1拍を「パン」、その1拍分の8分音符を「ネギ」、3連符を「トマト」、
16分音符を「たけのこ」とし、「パン、パン、パン、パン」「ネギ、ネギ、ネギ、ネギ」「トマト、トマト〜」
「たけのこ、たけのこ、たけのこ〜」という具合に佐渡氏と原氏の掛け合いで説明された。
これをお客様はリズムをとり、我々はそれに合わせて演奏。
もちろんNYQも加わりそのリズムのシステムを体験してもらった。
演奏者から見るお客様の表情は、皆とてもリラックスして音楽会を楽しんでいる。
また、子供達の何か 新しい発見をした時の様な純粋な眼差し、我々にとってこれがたまらなく嬉しい。
 この他に、演奏中のストップタイムで、その小節はフリーに表現できる奏法や、原氏からあるリズムを
与えられ、それを我々とお客様が繰り返す演奏を楽しんだりしているうちにあっという間にフィナーレと
なった。最後は再びお坊様がサイドよりも木魚を持ってバードランドと、星条旗を一緒に演奏し、
1日がかりの「音楽祭り」が終わった。

これまでにもお客様を寄り身近に感じられるコンサートを沢山してきているが、今回の演奏会前の
各イベントで音楽の楽しさを色々なスタイルで伝えることができたこと、これは我々にとっても収穫
であった。音楽は人々の豊かな心を育て、より良い社会創りには欠くことのできないものと信じる。
日本での音楽の社会的位置づけの向上、そして我々はいつまでもこの気持ちを忘れることなく
音楽界を吹奏楽界をリードして行かなければならい。いや、我々シエナウインドオーケストラにしか
できない何かを確立しなければならない。