富士山河口湖音楽祭2003

No.1

シエナの夏、河口湖の夏  

(レポート:
Tp.上田 仁)

新宿から電車を乗り継ぎ約2時間、そこからタクシーで10分ほど行った所に「河口湖ステラシアター」がある。
  このシアターは客席が半円形で後ろに行くに従ってグングン高くなっていく。 その姿は古代ギリシャの巨大建築「コロシアム」を連想させる。ステージには屋根があり、 外観は至って普通だが、このステージは中央から左右に真っ二つに分かれ、そのポッカリあいた空間には、 代わって雄大な富士山が現れるという、素晴らしいシアターだ。
 我々シエナ
ウインド オーケストラのメンバーがMt.Fuji 河口湖ミュージックフェスティバルの為にこの劇場に到着したのは、 やっと太平洋高気圧が勢いを取り戻した8月22日の午前。 会場にはすでに元気な管打楽器の音が鳴り響いていた。胸が踊る。 「ああ、今年もやって来たな」と。このミュージックフェスティバルは今年で2年目。 シエナのメンバーもまた、この時を心待ちにしていたのだ。

   楽器の準備、ウォーミングアップをして、リハーサルに臨む。天気はつきぬける様な快晴だ。 東京でリハーサルを重ねてきただけあって、この日のリハーサルは順調に終了。 
準備は万端だ…たった一つ、僕のある仕込みを除いては。

 
夕方には懇親会としてバーべキュー。 これもこのフェスティバルの名物の一つ、
地元ボランティアの手作りのパーティーである。 明日のコンサートの準備のため遅れて来た僕に、
親切な女子学生が沢山の食べ物を運んで来てくれた。
 …この一実だけでも、僕はここに来た甲斐があったと思った。
 
みんなの旺盛な食欲がある程度満たされた所で、ステージでは星空の下、コンサートが開かれた。 クリニック受講生による吹奏楽、ボランティアによる合唱、アンサンブル。そして今回のゲストの Vn.奥村愛さんも素晴らしい演奏を聴かせてくれた。


奥村愛さん


子どもたちの歌。天使の歌声です。


シエナメンバーはお客さん。
受講生バンドです。

ある事が心配でよく眠れなかったが、無情にも朝が来て、日付けは23日。 今日も朝から元気な太陽。暑い。皮膚がジリジリ焼かれるようだ。
 
11時から、地元高校生バンドに混ざって、「アフリカンシンフォニー」の練習。指揮は世界の佐渡 裕だ。みんな緊張した面持ちで楽器を構える。佐渡さんの要求は、高校生だからといって容赦しない。 佐渡さんの汗が飛び散るたび、皆の音が変わっていく。今日は本当にいいコンサートになりそうだ。
 
午後からは、シエナのリハーサル。 進行を確認しつつ、コンサート直前のリハーサルは本番へのパワーを残して終了。僕の個人的な仕込みも無事終了。
 西日が眩しい午後5時、コンサートが始まる。 最初を飾るのは、高校生選抜バンドと、シエナメンバーの競演、「アフリカンシンフォニー」だ。 「ポンッポポンポン
」ラテンパーカッションの野蛮なリズムが、僕の血を騒がせる…以下、全開演奏。


たくさんのお客さまが見つめる。


一般選抜の方の加わったホルスト
堂々スタンディングのSOLO。


クラリネットのSOLOも。
ブラボ〜!みなさんお疲れ様でした。


奥村愛さんと

そしていよいよ我らがシエナ ウインド オーケストラのステージ。 佐渡さんのダイナミックなタクトが振り下ろされる。 ブラス、打楽器が炸裂する。木管楽器が疾風の如く駆け抜ける。今日もシエナは絶好調だ。 1部の最後は、地元の社会人選抜の方が加わってのホルスト第2組曲。コンサートはさらに加速していく。
  短い休憩をはさんで、2部。シエナはまた違った姿を見せる。こんな事、ステージでやっていいのか?「 ど宴会エクスプレス」で、吹っ切れたように繰り出したるは宴会芸。
昨日から、僕が真剣に考え、準備し、唯一心配していたのはこの芸だった。 司会者のTb.郡さんは、「ど宴会」だけにすでに麦わら帽子にズボンのすそをしばった出で立ち。 当事者である自分でさえも戸惑うほどの体当たりの芸は、時にサムかったりもするが、今日もシエナは止まらない!!
  2曲目、3曲目には、ゲストの奥村 愛さんとの競演。 先ほどの騒ぎのお口直しと言った所か…?素晴らしく配慮されたプログラミングである。
  またまた休憩を挟んで、3部が始まる頃には、辺りはすっかり夜の闇に包まれ、 早過ぎる秋を思わせるひんやりとした風が吹いていた。そんな中、シエナはまるでコンサートを終える事を拒絶するかのように、 さらに熱く、渾身の演奏を続け、いよいよアンコール。佐渡さんの呼びかけと同時に、会場中から楽器を持った人々が駆け降りてくる。 「星条旗よ永遠なれ」だ。ステージとステージ下に集まった、大勢の演奏者の最後の音の余韻と共に、 その場にいたすべての人がこのミュージックフェスティバルを大成功に終わることが出来た達成感と、心地よい満足感に浸っていた事だろう。


大きな拍手が鳴り止まない。

◆プログラム◆
地元中高生バンドによるプレ演奏
    「アフリカンシンフォニー」
1部 ショスタコーヴィッチ / 祝典序曲
   ホルスト / 第2組曲
   リード / オセロ
2部 音楽のおもちゃ箱
     〜佐渡裕のトークと音楽〜
3部 バーンスタイン / ディベルティメント

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