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第44回定期演奏会を指揮するフィリップ・スパーク氏からドラゴンの年2017年版について解説が寄せられました。

『ドラゴンの年 The Year of the Dragon 2017年版』は、シエナ・ウィンド・オーケストラにより委嘱され、本日の公演で世界初演される。
 
本作の吹奏楽版初版は、ブラスバンド版を作曲した1年後の1985年に作られた。当時、私は吹奏楽の作曲技法を模索し学んでいる途中であった(もちろん、今もその道程にあるが!)。それから32年の時が経過して、吹奏楽という表現手段に対する私のアプローチも、少しは進化し向上してきたつもりである。
 
以下に、2つのバージョンの主な違いを挙げる;
 
1)1980年代における吹奏楽事情は、現在よりはるかに国際的では無かった。英国の吹奏楽団は伝統的な軍楽隊のスタイルを踏襲していて、当時隆盛していたアメリカの大学バンドの編成よりも小規模なオーケストレーションを使う傾向にあった。今回の2017年版では、近代的な拡張された打楽器セクションと低音木管楽器群、さらにストリングベースも加え、より国際的な編成を採用した。
 
2)初版では、木管楽器の譜面に愚直な筆致が見られた。ブラスバンド版から、文字通りそのまま写されたアーティキュレーションによって、ところどころ木管楽器らしからぬ表現になってしまっていたが、今回、それらを改善することに努めた。
 
3)上記に加えて、私自身の作曲スタイルが、この32年の間で成熟し進化してきた、ということがある。初版にあるいくつかのパッセージは、率直に言って「今の私だったら、こうは書かないだろう」と思う。しかしそれは、初版が「間違っている」のではなく、私の作曲技法が変化しただけのことである。この2017年版は、初版に新しい衣服を着せて見た目を取り繕ったものではなく、もし今日(こんにち)の私だったらこう書いただろう、という一つの結果である。
 
2017年4月
フィリップ・スパーク