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コラム第1回「シエナで聴くラヴェルで新たな発見!」
文:本田悠人(音楽ライター)

来る1月26日、シエナ・ウインド・オーケストラ(以下、SWO)の第25回定期演奏会が行われる。
チラシを見ると『シエナで聴くラヴェルで新たな発見!』とある。
モーリス・ラヴェル。
1875年生まれのフランスの作曲家。代表作には《ボレロ》など、またムソルグスキーのピアノ曲《展覧会の絵》をオーケストラ編曲したことでも知られている。

ラヴェル自身は吹奏楽の曲を残していないが、彼の管弦楽作品には魅力的なものが多く、これまでにも数々の団体が彼の作品を吹奏楽編曲で取り上げてきた。
とりわけ全日本吹奏楽コンクール、その最高峰である「全国大会」においてその演奏頻度は目を見張るものがあり、中でも《ダフニスとクロエ》第2組曲は1994年から2007年まで14年連続で取り上げられている。
吹奏楽の世界には毎年膨大な数の新曲や新アレンジ作品が登場するにもかかわらず、かつ最も注目されているであろうコンクール全国大会において、愛奏されつづけるラヴェル作品。その魅力はどこにあるのだろうと考えてみたい。

ラヴェル作品を語る上でまず思い浮かぶのが「管弦楽の魔術師」という言葉。
《ボレロ》の中でピッコロとホルン、チェレスタが同時にメロディーを奏でるなど、その大胆な楽器用法もさることながらそれらを「スイスの時計職人」と称されるまでの精緻なスコアにまとめあげていく。
音楽史の上では「印象主義」という言葉でくくられるラヴェルであるが、そのうつろいゆく音楽の裏では全ての楽器が時計の歯車のように厳密に設計され、機能しているのである。また、ラヴェルの時代までに現在使用されているものとほぼ変わらない楽器が出揃ったことも忘れてはならない。

さて、今回SWOはラヴェルの《スペイン狂詩曲》を取り上げると言う。当初は2台ピアノのために書かれた作品であるが、その後ラヴェル自身の手によって管弦楽に改められた。管弦楽での初演は1908年、今からちょうど100年前のパリで行われた。この時ラヴェル33歳、大規模な管弦楽作品としては初期のものである。
その編成にはイングリッシュ・ホルンやバス・クラリネットを含み、また2台のハープそしてチェレスタを要求している。またホルンには"半音階の(演奏できる)"(chromatiques)というカッコ書きがあり、まだまだナチュラルホルンも使われていたであろう当時の状況を思わせる。
そしてタイトルにもある「スペイン」であるが、これは当時のフランスでスペイン趣味が流行していたことに加え、ラヴェルの母親がバスク地方の出身であったことも関係しているだろう。

ところで、ラヴェルの管弦楽作品のうち《ラ・ヴァルス》などはパリ・ラムルー管弦楽団によって初演されている。そう、現在佐渡裕が首席指揮者を務める楽団である。
かつてラヴェル自身も立ったその指揮台で活躍を見せている佐渡裕が、敢えて吹奏楽でラヴェルに挑む。
既にSWOの定期演奏会でも先述の《ラ・ヴァルス》や《ダフニスとクロエ》で素晴らしい演奏を聴かせてくれている。
今回どんな『新たな発見』を我々に披露してくれるのか、今から楽しみである。

※参考資料:
《スペイン狂詩曲》ミニチュアスコア(解説:井上さつき)〔音楽之友社〕
「バンドジャーナル」1997年2月号、2007年2月号〔音楽之友社〕

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